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リンパ球支持機構の解析

骨髄ストローマ細胞は種々のサイトカインを分泌すると伴に細胞表面上に種々の接着分子やマトリックス構成分子を発現することにより、リンパ球前駆細胞に分化・増殖のシグナルを与えるだけでなく、骨髄での定着あるいは分化に伴う移動を調節しています。このように、骨髄ストローマ細胞は、日々のリンパ球産生を支持するだけでなく必要に応じ産生を亢進し或いは過剰反応に対し産生を低下させ、一定の血液状態の保持に重要な役割を果たしていると考えられています。我々は骨髄ストローマ細胞によるリンパ球調節機構の破綻が一部の免疫不全症や自己免疫疾患等のリンパ球量的異常を示す疾患の一因となり得ると考えており、主に骨髄ストローマ細胞により産生されるリンパ球制御に関わる分子の同定とその機能解析について研究を行ってきました。


(1) 慢性関節リウマチや多発性骨髄腫患者由来ストローマ細胞株が健常人由来ストローマ細胞株に比し高いBリンパ球前駆細胞支持能を持つ事を報告し、患者由来ストローマ細胞株優位に発現する分子としてBST-1及びBST-2 (Bone Marrow Stromal Cell Antigen-1, 2) を新しくクローニングしました。その後の研究により、BST-1は一部のムチランス型慢性関節リウマチ患者血清及び関節液で高値を示す事が明らかにされました。


(2) ストローマ細胞が産生するサイトカインや表面分子は多種多様であり、個々の分子に特異なアッセイ系を確立することは困難です。そこで我々はBリンパ球前駆細胞と結合するストローマ細胞上分子を同定するクローニング方法を樹立しました。この方法を用いて、Bリンパ球前駆細胞と結合能を持つ6種の細胞外マトリックス構成因子[SIM(新規分子), Syndecan-4, Biglycan, matrix glycoprotein SC1, Osteonectin, Collagen]を同定しました。


(3) Rag1-GFP knock-in mouseを用い、成体骨髄及び胎児肝から早期 Bリンパ球前駆細胞の同定に成功しました。この実験系では、胎児期における最初のRag1-GFP+細胞は、胎生10.5日に胸腺原基を含む頚部領域に検出されました。さらにRag1+細胞は胎生11.0日には肝臓にも出現し、以後胎生16日まで一日約10倍の増加率でBリンパ球が認められました。


(4) ヒトBリンパ球を試験管内で支持する培養法を確立しました。現在、Tリンパ球産生を誘導する培養法確立に取り組んでいます。これらの新しいリンパ球培養法を基盤にした細胞療法や再生療法を行いたいと考えています。