

マウスストローマ細胞株BMS2.4が白血病細胞株の増殖を抑制することが報告されてから長い間、どのような分子が増殖抑制に関与しているかは不明でした。我々は、BMS2.4細胞株からcDNAライブラリーを作製しWEHI3骨髄性白血病細胞株の増殖を抑制することを指標にした発現クローニングを行なった結果、新規分子Limitin (EMBL/GenBank/DDBJ: AB024521)を同定しました。LimitinがIFN-αやIFN-βと塩基配列相同性を有する事実、LimitinがIFN-ζ/ζ受容体と結合する事実、Limitinが抗ウイルス活性を有する事実に基づき、2003年the Nomenclature Committee of the International Society for Interferon and Cytokine ResearchにおいてLimitinは新しいI型IFNでありIFN-ζと命名されました。
我々は、IFN-ζ/LimitinとIFN-αの生理活性に関して比較しました。細胞障害性Tリンパ球キラー活性増強作用・MHC class I誘導作用・腫瘍細胞増殖抑制作用に関してIFN-ζ/LimitinはIFN-αと同等の生理活性を示したことより、IFN-ζ/LimitinはIFN-αと同等の直接腫瘍細胞に対したあるいは免疫系を介した抗腫瘍効果を発揮すると考えられます。しかし、IFN-αと異なりIFN-ζ/Limitinは正常骨髄球前駆細胞や正常赤芽球前駆細胞の増殖に影響を及ぼさず、正常巨核球前駆細胞や正常リンパ球前駆細胞の増殖抑制にはIFN-αに比較して大量のIFN-ζ/Limitinを必要としました。このようにIFN-ζ/LimitinはIFN-αと比較して骨髄抑制作用が少ないという特徴を有していました。
IFNは、慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病・多発性骨髄腫などの血液疾患をはじめ多くの癌疾患およびウイルス肝炎の治療薬として使用されています。しかし、IFNには骨髄抑制や精神作用などの副作用が存在し、時にIFNの減量や中止が必要となります。IFN-ζ/Limitinのように骨髄抑制作用が少なければ、大量投与や長期投与が可能となり、治療成績の向上が期待できます。さらに、しばしば白血球減少や血小板減少を伴う症例や他の抗腫瘍剤との併用時には、骨髄抑制作用の少ないIFN-ζ/LimitinはIFN-αやIFN-βと比較して優位であると考えます。