---

6. リンパ球機能調節シグナル

 Stromal Interaction molecule 1 (STIM1)は、織谷らがクローニングした分子である。STIM1は、細胞内Ca2+濃度を感知するセンサーとしての役割が明らかにされ、リンパ球産生に重要であることが報告されてきた。齊藤、織谷は、STIM1がCa2+枯渇を感知し細胞外から細胞内へのCa2+流入を惹起する分子メカニズムについて検討し、STIM1分子内のcoiled-coilドメインが蛋白安定化や細胞内局在に重要であることを明らかにした(J Cell Biochem 2011)。さらに、STIM1と会合する分子について解析を進めている。
 織谷は、北海道大学 松田教授との共同研究を行っており、リンパ球におけるサイトカインシグナルを調節する分子の解析を進めてきた。Signal transducing adaptor protein (STAP)-2 は、アダプターファミリー蛋白としての構造を有しており、シグナル伝達あるいは転写因子と結合することでその機能を調節することを見出した。即ち、MyD88やIKK-との結合を介してTLRからのNF-B活性化を促進させること(J Immunol 2006)、ユビキチンリガーゼCblとの結合を介してfocal adhesion kinase蛋白の分解を亢進させfibronectinへの細胞接着を減弱させること(J Immunol 2007)、Vav1との結合を介してRac1やCdc42の活性を増強しSDF-1に対する遊走能を亢進させること(J Immunol 2009)、caspase8との結合を介してFas刺激後の細胞死を促進すること(J Immunol 2012)、BCR-ABLとの結合を介してBCR-ABLリン酸化やシグナルを増強させること (Oncogene 2012)、などを報告してきた。藤田(奈)は、DSS誘導腸炎モデルを確立した上で、生体内における免疫/炎症反応に及ぼすSTAP-2の役割を解析している(論文投稿中)。現在、STAP-2を標的とした新しい免疫/炎症薬の開発に取り組んでいる。